駒大苫小牧高校について

greenhouse2005-08-23

 北海道が揺れてます。昨年の夏の甲子園奇跡の優勝に続いての連覇に沸いた北海道が揺れてます。

 全国高校野球選手権大会で57年ぶりの連覇を果たした駒大苫小牧に衝撃が走りました。野球部長(27)が、6月と8月の2回、部員を殴るなどの暴力をふるったということです。同校長は優勝旗返還も含めた処分も受け入れることを示唆したそうですが、この人は、野球部員が炎天下の中、力を振り絞り、勝ち取った優勝という栄光を簡単に手放してもいいと明言してるのです。生徒を守ることもしようとせず、今回の責任の所在を生徒に押し付けてもいいとまで言ってるようなものです。 

同部長による暴力行為は2度あったといいます。同校などによると、最初は6月2日の練習後、3年生部員1人を練習態度などを理由に平手で顔を3、4発殴り、部員はあごが外れ、かみ合わせが悪くなったといいます。2度目は甲子園入り後の8月7日。宿舎で食事ノルマの茶わん3杯を守らなかったとして、スリッパで頭を1度たたいたと。スリッパ?それって体罰になるのでしょうかね。

高野連は高校側から文書で報告を求め、対応を決める方針らしいのですが、これで優勝取り消しなどという処分が下されたら、部員は悲しみのあまり、絶望に陥るでしょうね。まあ、まさか優勝取り消しなんて処分は下さないかと思いますけど。大体、高野連って何なんでしょうね。高校野球は教育の一環と言い張ってますが、すでに現実はそうではないでしょう。高校は有力な選手を県外からスカウトし、マスコミは日本中を巻き込み、テレビ中継をし、勝者にはヒーローインタビューをし、プロ野球のスカウトマンは目を光らせている。高校野球には多くの金が動いているのです。これの一体どこに教育という理念をはめ込もうとしているのかが理解できません。

まあそれはともかく、今どき連帯責任を強いる時代遅れの風潮が残っているのが不思議でしょうがありません。不祥事を起こした本人は、一生それを悔やみ、連帯責任を負わされた生徒は、心ならずも目標を奪われ奈落の底に突き落とされたかのようなショックを受け、不祥事を起こした人間と処分を下した大人を恨むことでしょう。まだ子供である双方の生徒の心に一生消えない深い傷を負わせることに高野連は気付いていないのでしょうかね。

仮に(私は体罰くらい何とも思いませんが)誰かが、高野連の言うところの不祥事を起こしたとしたら、その本人を処罰すればいいし、またその権限は高野連にはなく、学校側、行政側にあるはずです。しかも今回は生徒の不祥事ではなく、大人である部長の不祥事です。どっかおかしいんじゃないでしょうかね。今日の朝刊に誰かの署名記事で、「こんな不祥事は言語道断である」なんて偉そうに書いていた記者がいましたが(朝日ではありませんよ)、彼に事の本質が理解できているとは到底思えませんね。

今回の件に特に関係はありませんが、高野連もマスコミも、それから国民も高校球児に幻想を抱きすぎなんじゃないでしょうか? 清く正しく美しくなんて言葉を押し付けようとするから、こうなるのです。高校球児だけに、この言葉を押し付ける前に、教育というものを、すべての側面から考え直す方が先だと思いますけどね。高校生だって喫煙もするし、飲酒もする。だけどそれは大人ぶって背伸びしたいからに過ぎません。常習だったら野球の練習なんてできないでしょう。それが大したことじゃないことくらい渋谷やどっかの繁華街で夜通しタムロしている高校生と比べてみたら自ずからわかることです。ちょっと話がずれましたけど。

何も悪いことをせず、ただ毎日の厳しい練習に耐え、予選を勝ち抜き、やっと甲子園への切符を手に入れ、頂点にまで登り詰めた彼らに、学校側と高野連は、全く関係ないといえる第三者の(部長だって、その殴られた ベンチ入りもしてない生徒だって、戦ってきた当事者とは言えないでしょう)不祥事の連帯責任を強要しようとしてるのです。さらに優勝を取り消す可能性を示唆したまま、数日間懊悩の中で過ごさせるなんて、これが教育と言えるのでしょうかね。

行き過ぎた体罰はいけませんが、行き過ぎた体罰否定論は、生徒を増長させるだけです。私が中学校の頃の話です。私はバスケット部に所属してました。監督は練習中、試合中を含め、私がだらけたプレーや、手抜きのプレーをしたときばかりでなく、単なるミスをした場合でも、平手打ちで殴ってきました。体育館にパン!パン!と乾いた音が響きましたね。大勢の人がそれを見ていたわけですが、誰も文句を言いません。私も少しも恨みを持ちませんでした。当時はまあ普通だったのですね。今だったら、大問題になっていたでしょうね。

しかし親も親ですね。詳しいことはまだわかっていませんが、自分の子供が少々体罰を受けたくらいで、学校側に抗議をするというのも、情けない気がします。子供の教育は学校側に任せっぱなしで、いざこういうことが起こると、顔色を失って、大げさに抗議する。だったら日頃、きちんと教育、躾をするべきでしょう。してないから自分の食べ残しをおひつに戻すなんて行為をするのです。

部長とやらも、27歳、まだまだ自分の感情をコントロールできるほどの年ではないと思います。成熟した大人とは言い難い。殴られた生徒にそれが愛の鞭だとわからせることができなかったと言うことです。

さて、高野連はどういう処分を下すのかわかりませんが、とにかく優勝取り消しという愚かな処分は下さないで欲しいですね。常識で考えればわかることです。当事者の野球部員は何も悪いことをしてないのですから。部長はある程度の処分を受け、監督責任で監督、校長にも何らかの処分、野球部員にはお咎めなし、これが至極真っ当な処分と言えると思います。